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マツモト ヤスオ
Matsumoto Yasuo 松本 安生 所属 神奈川大学 人間科学部 人間科学科 神奈川大学大学院 人間科学研究科 人間科学専攻(地域社会学分野 演習担当教員) 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2023/12 |
形態種別 | 大学・研究所等紀要 |
標題 | 多元的愛着と人口統計学的属性及び気候変動対策行動との関連 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 人文研究 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 神奈川大学人文学会 |
巻・号・頁 | (210),51-78頁 |
概要 | 地域や場所との感情的なつながりである場所への愛着(place attachment)が、気候変動問題への取り組みを動機付ける一因として注目され、グローバルなレベルの愛着と気候変動に対する関心や行動との関連を実証的に示す研究も増えつつある。こうしたなか、本研究は、日本において近隣、国、世界といった異なる空間スケールの場所に対して、人はどの程度の愛着を感じているのか、また、それらは人口統計学的属性とどのように関連しているのか、さらに、異なる空間スケールに対する愛着が、個人の気候変動対策への取り組みとどのように関係しているのかを明らかにすることを目的とする。このため、神奈川県に住む20歳~79歳までの男女2400名を対象にインターネット調査により、異なる空間スケールに対する愛着や地球温暖化対策への取り組みについて調査を行った。
この結果、日本においては、国への愛着が相対的に強い回答者(日本国民)は約半数を占め、60~70代の高年層で1人暮らしが多いことが明らかとなった。一方で、世界への愛着が相対的に強い回答者(世界市民)は1割程度存在し、こうした回答者(世界市民)のうち40~50代の中年層では環境に配慮した企業の商品やサービスの購入、20~30代の若年層では断熱性の高い住宅のリフォームなどで地球温暖化対策に取り組む回答者が多いことが明らかになった。つまり、本研究においてもグローバルなレベルの愛着と気候変動に対する行動との関連が示された。一方で、近隣への愛着が相対的に強い回答者(地域住民)は2割程度を占め、20~30代の若年層が多く、自治体やNPOなどによる学習会に参加する回答者が多いことも明らかになった。 これらのことから、脱炭素社会に向けた個人の取り組みを動機付ける要因としてグローバルなレベルの愛着に着目し、個人の行動変容を促すための方策を検討することは有効と考えられる。一方、気候変動による影響が身近な地域でも深刻化するなかで、とりわけ若年層における行動変容を促すための方策として、地域への愛着に着目することも重要と考えらえる。 |