|
|
ゴトウ ヨウコ
Gotoh Yoko 五嶋 陽子 所属 神奈川大学 経済学部 経済学科/現代ビジネス学科 神奈川大学大学院 経済学研究科 経済学専攻(会計・財政コース) 職種 教授 |
|
言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2010/03 |
形態種別 | 著書 |
標題 | アメリカ・モデル経済社会 第5巻 アメリカ・モデル福祉国家II |
執筆形態 | 共著 |
出版社・発行元 | 昭和堂 |
巻・号・頁 | 67-133頁 |
概要 | 渋谷博史・中浜隆編 執筆分 第2章 医療費控除の機能 医療費控除の先行研究では医療サービス市場のみならずその他の生産物市場における消費者間の水平的公平や医療費控除と個人の保険加入という属性との対比を取り上げた研究は少ない。包括的所得ならびに医療費が同等な個人であるにも関わらず、租税優遇措置の違いによって医療サービス価格(消費者が直面する価格)、課税後所得、所得税、残余的経済力に差異が生じることを示し、さらに医療費控除が課税後の生涯所得と残余の生涯経済力における差異を広げ、その結果、医療サービス市場における個人間の「対等の立場」、いわゆるイコール・フッティングが成立せず、無保険者が保険加入者よりもさらに優位になり、勤労者間の水平的公平を阻害する場合のあることを考察する。 アメリカの国民医療費の公私負担構造と民間部門における資金調達構造を捉えると、自己支払の規模が2700億万ドル弱に上り(2007年時点)、占有割合も2割強を占める。自己支払は連邦個人所得税制上、医療費控除による所得税の軽減で公的に支援される。とはいえ、国民医療費で網羅される内容と医療費控除の適用対象となる医療費の範囲を対比すると、両者は一致しない。医療費控除の政策意図と制度の歴史的変容を理解し、医療費控除の対象者が拡大してきたことを見ると、医療費控除の所得階層間の偏在が概算控除と医療費控除との選択、また項目別控除上限枠からの医療費控除の離脱と関わりがあることが明らかとなった。また民間医療保険加入状況と対比すると、医療費控除の垂直的偏在を、水平的公平モデルから説明できる。これらの考察を踏まえて所得税の制度的脈絡から医療費控除の本質的役割について一つの解釈を試みる。 |