セキグチ マサヒデ   Sekiguchi Masahide
  関口 昌秀
   所属   神奈川大学  経営学部 国際経営学科(教職課程)
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2009/03
形態種別 学術雑誌
標題 ピアジェは道徳性の発達段階をどのように考えたか?―『子どもの道徳判断』を読む(2)―
執筆形態 単著
掲載誌名 『神奈川大学心理・教育研究論集』(神奈川大学教職課程研究室)
巻・号・頁 (28),63-77頁
概要 本稿は前稿「ピアジェ理論における道徳性発達の論理」に続き、ピアジェ著『子どもの道徳判断』を読解しようとしたものである。前稿は結論部第4章を対象としたが、本稿は第1章「遊びの中の規則」を対象とした。ピアジェは道徳性を2つのレベルで区別する。1つは規則の種類の区別、もう1つは規則を実行することと規則を意識することの区別である。たとえば、ビー玉遊びの規則と嘘をつかない規則と正義の規則は、規則として別の種類だとする。ピアジェが主として論じるのは、後者、規則の実行と規則意識の発達である。発達段階でみると、規則の実行は4段階となるが、規則意識は3段階となる。規則実行発達の時期区分は、認知発達の4段階(感覚-運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期)とほぼ重なる。それに対して、規則意識は、自己中心性から、他律的道徳意識、自律的道徳意識という3段階の発達となる。実行と意識の関係について、ピアジェは「意識化の法則」と「ずれの法則」によって説明する。思考はつねに行動に遅れる。だから、協同を一定期間実行してのち(実行の第3段階)、はじめて協同を意識する(意識の第3段階)ことができる。そして協同の意識ができてのち、ゲームの立法化、規則の制定化という実行の第4段階が出現する。この出現には「思考が行動に遅れる」が適用できない。実行の第4段階は、協同の意識と形式的推論能力という認知能力の発達が主導することになる。